酔っている所為か、上手く身体を動かせないらしいセラスを一糸纏わぬ姿に剥いてしまうのは造作もなかった。思考もやはりぼやけているらしく、常にはスタンドの灯り一つつけることを頑なに拒む女が、煌々たる灯りの元にその裸体を晒していた。
自身も下着一枚になり、ベルナドットはベッドに横たわった白い裸身をしげしげと見つめる。
張りと質量を保つ豊かな胸と、細く締まった腰。細すぎず太すぎず、そして滑らかな太腿。
「やっぱ、いい身体してるわ。嬢ちゃん」
感嘆と揶揄の混ざり合ったその言葉に、恥らうように身じろぎをしかけた身体をベルナドットは引き戻した。
「おい、暴れんな。まだ濡れてんだから」
力なく宙に浮いた手首を捕まえ、ベルナドットは細い指先を口に含む。
舌を絡めるようにして指を辿り、股の間にも丁寧に舌を這わせれば、セラスは慣れぬその感覚にぞくりと背筋を粟立てた。
セラスの指先を解放したベルナドットは、手のひらから手首、そして腕の内側へと舌を滑らせる。途切れ途切れの息を吐き出す喉に口付け、それからゆっくりと胸元に顔を埋めた。
やわらかな肌の上に幾度も舌を這わせ、セラスが甘い吐息を零し始めるころには、すっかり酒の味も匂いも失われてしまった。
「足りねぇな」
ベルナドットはセラスの上から身を起こすと、楽しげに片方の頬を持ち上げる。
「俺のまで飲んじまった分、ちゃあんと返してもらうぜ?」
滑らかな弾力を持つ腿にベルナドットは両手をかける。
「・・・あ・・・や、だ」
弱々しい抵抗を無視して、両の脚を大きく開く。淡く絡み合う茂みの下からは、既に濡れた女の匂いが立ち上り始めていた。
湿り気を帯びた茂みをかき分け、柔らかな陰唇を押し開く。経験の浅いそこは容赦なく照らし出す光の下に、薄いピンクの肉色を晒していた。
「綺麗な色してんな」
「や・・・いや・・・・言わな・・で」
「褒めてんだぜ?」
笑い含みのベルナドットに返すセラスの言葉はたどたどしい。
「やだ・・・・・恥ずかし・・・いっ!?」
引き攣るように語尾を跳ね上げたセラス。その秘所には、ベルナドットの舌が挿し込まれていた。
ぴちゃ・・・・くちゅり。
ベルナドットの舌先と、セラスの窪みが触れ合うたびに、微かなそしてたまらなく隠微な水音が響く。
セラスの中心に顔を埋めたまま、ベルナドットは長い右手を伸ばし、セラスの乳房を愛撫する。柔らかな表面を辿った指先が、すっかり立ち上がった先端を摘めば、セラスは大きく息を吐き背筋を震わせた。
その敏感さにベルナドットはほくそ笑むと、殊更に乳首を責め続ける。顕わになった輪郭を扱くように指先で擦れば、指の動きに合わせて、セラスの唇から切なげな息が零れた。それと同時に、吐き出される体液もその量を増す。
唇から顎までを伝う愛液を手の甲で拭い、ベルナドットは身を起こした。
どろどろに溶けたセラスの中にゆっくりと中指を突き入れていく。
「入ってんの、分かるか?」
短い喘ぎ声でセラスが応じると、ベルナドットは浅くまで指を抜く。再び挿し入れた時には、指は二本になっていた。
軽く指を曲げ、壁を押し上げるようにセラスの中を掻き回す。
「あぁ・・・ん」
甘い泣き声に、ベルナドットは小さく笑むと、再び指を引き抜き、三本目の指を加え、セラスの中にゆっくりと沈めていく。
きちり、と入口が濡れた音で出迎える。
その瞬間、セラスの身体がビクリと強張った。
「・・・・あ・・・や・・キツ、イ・・」
「何、言ってんだ。嬢ちゃん、いっつもココで俺のを咥えてんだぜ?」
濡れた肉の中で、三本の指を泳がせる。と、中指の腹にざらりとした感触を得た。その瞬間、セラスが一際高く鳴いた。
「見つけた」
ニヤリと笑みをはりつかせ、ベルナドットは三つの指の腹で、代わる代わるにその場所を撫ぜる。
「あっ!? そこっ・・・・だめ、ぇっ・・・・ああぁっ!!」
「嘘つけよ」
ベルナドットは、じりじりとセラスに寄り添うように身体を近づける。その間も指の動きは止まることなく、絶えずいやらしい水音を奏で続けている。
「イイ、の間違いだろ? こんなに濡らして」
嬲るように囁くその声に、セラスは何度もかぶりを振る。
堕ちる間際のそのささやかな抵抗を楽しむように、ベルナドットは言葉でセラスを追い詰めていく。
「根元まで全部入ってんだぜ?」
「いや・・・・あっ!!」
指を深く突き入れたまま、ベルナドットは秘所を覆うように手のひらをあてがう。
手首ごと回すように中を抉れば、まるで水入りのグラスを細かく振った時のように、セラスの身体はぴしゃぴしゃと音をたてる。
「ほら、聞こえるだろ?」
ベルナドットの問いに答える余裕もなく、セラスは強く唇を噛んだ。
ゆるく回転する手のひらと陰核とが擦れあい、セラスの身体に甘い刺激を走らせ続ける。
声を上げることもできず、セラスは、ただ喉の奥でか細く鳴き続けた。
じくり、と下腹部の奥に湧き上がった何かが、急激にその質量を増してくる。このままずっとこの甘い刺激を感じていたいという気持ちと、突き抜けてしまいたい気持ちが拮抗している。
「ベルナ・・・・さん・・・あぁっ・・・・そこっ、そこぉっ!!」
止めて欲しいのか続けて欲しいのか、自分でも判別つかぬまま、セラスは熱に浮かされたような言葉を発する。
過ぎた刺激にセラスの目に涙が浮かぶ。滲んだ視界の先で、ベルナドットが優しく笑んだような気がした。
「イきそうか? イきそうなんだな?」
「何・・・で? 分か・・・」
言葉にならないセラスの意を汲んで、ベルナドットは笑う。汗ばんだセラスの額を撫ぜ、涙に濡れた大きな目を覗き込んだ。
「目の色が変わった。興奮してんな?」
セラスは目を見開く。青空の色から、鮮血の色へと変貌した瞳を。
慌てたように顔を背けたセラスの顎を、ベルナドットの指が捕まえ、元に戻す。
「隠すな。綺麗なんだから」
「え?」
驚いた顔で聞き返したセラスに、ベルナドットはバツが悪そうに頭を掻きながら圧し掛かかった。
セラスの体液でぐっしょりと濡れた指で、自身を取り出すと、一気に中を貫く。
蕩けながら締めつけてくる体内に、苦しげに息を吐きながら、抽送を始める。
ベルナドットの下では、切なげに細められた目から涙が零れていた。
綺麗なんだよ。
ベルナドットは強く腰を押し当てながら、親指で涙の跡のついた目尻を撫ぜる。
人のものではあり得ない色の瞳。
それは彼女の情欲の証。
自分の手の中で快楽に酔い、色を変える。それがこんなにも愉しく、そして自分を昂ぶらせる。
困ったもんだ。ベルナドットはセラスの濡れた瞳を見下ろしながら苦笑する。
酔わされてんのは俺の方じゃねぇか。
このレッド・アイに。
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